2020年4月から占星術家SUGARさんを中心にしたサビアンに関する研究会「谷間・オブ・サビアン」に参加しています。
研究員による発表交流会である「谷間の歌会」というZoomイベントに自分が発表したものを加筆してのせます。(現在は研究会は休会で開催されていません)
2021年7月 サビアン研究会自体は射手座後半を解説中です。
7月のこの時期は、夏の暑さにまだ身体が慣れていない時ですが、真冬の射手座の俳句です。
「もう泣かない電気毛布は裏切らない」神野紗希(こうのさき)
俳句には季節を示す言葉、季語があるのですが、この俳句の季語は電気毛布。
神野さんは、高校生の時「俳句甲子園」をきっかけに俳句部の前身である俳句同好会を、校内に立ち上げました。
俳句甲子園は1998年に第1回があり、今年2021年は24回目です。
神野さんは、2001年第四回俳句甲子園に出場しました。そして、彼女がいた松山東高校が団体優勝し、ご自身の句が最優秀句とされています。
その時の最優秀句は
「カンバスの余白八月十五日」
占星術には年齢域という考えがあります。
生まれた時から赤ちゃんの頃は月が象徴するのですが、そこから始まって、その年齢を担(にな)う天体があります。
高校生の俳句甲子園の時の年齢域の天体は、金星になります。
神野さんの金星は蟹座28度「ネイティブアメリカンの娘がボーイフレンドを一族に紹介する」
伝統的な考え方に新しい感性や文化を仲間にもたらしていく度数です。
この句は、俳句という古い世界、しかも正岡子規の生家や正岡子規記念館もある、俳句のさかんな松山でフレッシュな視線をもちこんだ作風が印象的。
しかも、それをチーム戦で戦う俳句甲子園で注目されました。
俳句甲子園では未発表の句を各自4句(5名全員)を作って、2チームで対戦します。
それを披講したあと、相手チームの質問に答えて、審査員が判定するのです。
なので、プレゼンテーションの能力や、単に悪口で終わらない鑑賞力も必要とされます。
つまり、俳句甲子園で勝つというのは、単に彼女の俳句だけが素晴らしかったという事ではなく、蟹座の象徴するチームでの優勝なのです。
そして、今は大学の講師もされている彼女も、高校の金星期をすぎて社会にでて働くのは、楽しいだけではなかったと思います。
背中から切りつけられるような裏切りも、ひとつやふたつはあったでしょう。
そんな冬の夜。
家でひとり、大泣きしたあとのぽっかりとした空気感が、この電気毛布の句にあると思うのです。
「もう泣かない電気毛布は裏切らない」
憂さ晴らしにハジけて友達と遊びにいったり、おしゃべりをしてやりすごす金星期は、すでにすぎています。
明日も仕事があるから、もう寝なきゃ、という大人の事情があるのです。
それはもしかしたら、裏切られた職場に明日また、行くのかもしれません。
さ、泣くのは終わり。
背中をさすってくれる暖かさを持つ、誰かはいない。
でも、電気毛布は裏切らずに必ず暖かいのです。
神野さんの海王星は射手座29度「芝を刈る太った少年 」
社会貢献をする射手座の度数です。
理想をもって社会にでていったものの、裏切られて疲れた自分を、電気毛布は裏切らずに迎えてくれます。
その彼女も、いまはお子さんのお母さんです。
彼女のTwitterや最近の句集からはむしろ、お母さんとしての視線を感じます。
裏切らない電気毛布にくるまっていた彼女は、みかんをむいてあげるお母さんになっています。
「負けてもいいよ私が蜜柑むいてあげる」
神野さんの太陽は火星とともに双子13度「コンサートで演奏するピアニスト」
彼女の俳句にはこの句もあります。俳句甲子園での句です。
「起立礼着席青葉風過ぎた」
さっと、一礼。弾き始めます。
さっそうと歩んでいく彼女には、もう電気毛布はいらないように思います。
俳句甲子園 https://haikukoushien.com/
俳句甲子園 ルール https://haikukoushien.com/2020/wp-content/uploads/2019/12/practice.pdf
神野紗希さん Twitter @kono_saki
チャートは、MyAstroChart さんで作りました。