スサノヲは、粗野で暴力的。
でもその一方で、妻に日本最初の和歌を、詠ってしまう繊細さ。
この相反する要素を持ち、
しかも、追放されて居場所がなくなっても、
なんの問題もない、その圧倒的な生命力。
そんなイメージを持っていました。
松涛美術館は巡回展の最後になります。
あまり広くない会場なので、展示も絞った数になりますが
建物もすばらしく、落ち着いていて
区立なので、入場料も安い。
展示の、地下のゾーンでは、生命を奪い、そして与えるもの。
そして、上の会場では、スサノヲのスピリットをもつ現代アート。
地下の展示だからでしょうか。
この世ではなく異界を統治するものを感じます。
神社でも、お寺でもないのですが、このコワさはなんだろう。
展示ケースの向こうには、異界。
むしろ、感じたのはスサノヲの生命力というより
生命をあたえ、そしてうばっていく力。
そして、それをとらえようとするヒトの力。
土器の蛇紋人面深鉢
羽黒山の三神合祭殿社殿前の御手洗池で出土した鏡
熊野牛玉宝印版木
木食知足の「飛白書三社宮(神)号」
高野山の「鎮火一筆龍王之図」
平田篤胤の「仙境異聞」
出口なおの「お筆先」
そうそう、渋谷氷川神社とその神宮寺の宝泉寺の縁起絵巻もありました。
地元へかえってきた巡回展で、地と響きあっているのかもしれません。
ここ、渋谷にもスサノヲはいます。
スサノヲという破壊と創造のパワーの前では、
そこから先は、異界だというアンテナを立てる必要があります。
必要がある、というより、皮膚があわだつような感覚があります。
スサノヲの到来 2015年8月8日から9月21日
松涛美術館