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阿・吽 (阿吽) 第三巻 ~名前は真魚

第三巻は、真魚(まお)が空海となる話、とあります。真魚中心の巻。

虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)を達成し、満業となったとき、
真魚は、足元に見た水のなかに、落ちていってしまいます。
そこに出会ったのは、魚としての自分。
その自分に飲まれて見たのは、水から陸にあがる魚たち。
空海の幼名、真魚、の「魚」

私は、なぜ、それらの魚たちは
海から、危険のある陸を目指したんだろう、と思います。
個体としての安全な場所や、サバイバルを目的にしていたなら
もっと別の方法もあったはず。
天敵の少ない深海にもぐる種もいたし、
競争の少ないエサを選ぶ種もいたように。
でも、あえて、エラを捨て、呼吸する器官までを変化させてまで
彼らは、なぜ、未知の陸を目指したのだろう。

その後、師である勤操(ごんそう)から「お前は何をみた」と聞かれたときに、
真魚は「我」と答えます。
あれは、魚としての自分、また、進化をやめないナニモノかとしての自分。
でも、そこから人の「身体」へ戻ってきた「我」

そして、カッコいい丹生明神。丹生都比売命(にうつひめのみこと)。
自分の目や腕を与える彼女は、男前に潔いけど
与えつづけるというのは、女神そのものです。
彼女の魅力は、丹生(にう)、水銀の魅力。
丹生には、不思議な魅力があります。
私も、魅かれて、丹生、水銀について調べて続けています。

丹生大明神告門(にうだいみょうじんのりと)には、
彼女は、天照大神(あまてらすおおみかみ)の妹神さまとされていますが、
丹生明神は、ヤマトの権力側ではないと私は感じます。
天津神ではなく、国津神。
この巻でも、ちょっとアウトローな彼女は、そのように描かれています。
はぐれた者、行き場所のない者を身内にいれて、
また、大陸から流れてきた者にも、居場所をあたえたのかもしれません。

それに対し、権力側の、渡来人の秦氏、その雇われた者たちも、
水銀の魅力に、魅かれてやってきます。
当時は、渡来人が水銀の価値を知り、精錬する技術もあり
政治や仏教の中心にも多くいました。
その渡来人の秦氏が、権力側、悪役、ヒールの役割で、登場しています。

この物語にでてくる真魚が「おっさん」と呼ぶ勤操は、
真魚の精神的支柱で、空海の師とされる人物ですが、
渡来人の秦氏だったといわれています。
この物語に、こういった秦氏が登場してきて、この先、気になるところです。

また、真魚の叔父の、阿刀大足(あとの おおたり)が、
真魚のつくった「聾瞽指帰」(ろうこしいき)という物語は、
自分のことだと怒っています。
真央は、自分のことだと、ここでは言っていますが、
強い物語は、必ず「自分のことだ」と感じる何かがあるのです。

これから、最澄と空海はともに、遣唐使として唐にわたります。
彼らの旅は、まだ、始まっていません。

でも、彼らはいいます。

「“追うべきもの”が、この世に存在しているのだ。
それを追わずして、なんの人生か」

彼らは、陸をめざした魚たちなのです。
また、この阿・吽という物語も、
自分のことだ、と思わせる強さがあるのです。

そういえば、この物語も宗教と、修行の話。
魚座海王星と、射手座土星です。
今の気持ちにあってるね。

扉のカラーの美しいこと。
おかざきさんの熱量に、ぜひ、ついていきたい。

第一巻と、第二巻の記事も書いています。

阿・吽 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)