隅田川のそばにある神社。隅田川にかかる橋の名前にも白鬚(しらひげ)橋があります。
自動車の通れない狭い道に、電線で区切られた空。
私は、下町の出身なのでなつかしい風景です。
違うのは向こうにみえるスカイツリー。
門前のおうちの窓が少し開いていて、テレビの音がします。ともすると、ご飯を食べている音や家族の会話まで聞こえるような場所でした。
といっても、白鬚神社は初めて。
橋の名前でもあるし、大きい神社なのかな、と思っていたのですが、意外と小さい。
ご祭神は猿田彦大神。
道をひらく神さま。
白鬚神社は、新羅(シラギ)に通じている、あるいは高句麗系の神社だと聞きました。
この隅田川の近くには、そうした大陸、半島からの人々がやってきて、そのときに一緒にお連れした神さまが多くおられます。
三社祭りの浅草神社。明治までは隣の浅草寺とひとつでした。
その浅草の観音様は、隅田川で猟をしているときに網にかかった像です。
こちらも、外からやってきた神仏なのです。
この隅田川、あるいは荒川にそった埼玉まで、「やってきた神仏」の寺社が点々と続きます。
かつてこのあたりには、玉ノ井と言われた私娼街がありました。
私の子どもの頃、近所の友達に、「夜に仕事をするお姉さんだけの家」のコがいました。
華やかできれいで若いお母さんと、働いている年齢の年の離れたお姉さんたちがいました。学校から帰って遊びにいくと、お姉さんとお母さんがいて、楽しそうでした。
ちょっと考えてみたら、あまり広くない家に、あれだけの大人がいたら大変だろうなとは思うのですが、楽しい思い出しかありません。
今は、このあたりには映画館はありません。かつて、東向島に映画の撮影所があったので、上映する劇場もあったのかもしれません。
お母さんとお姉さんしかいない友達は引っ越ししていってしまいましたし、細かな家はつぶされてマンションが立ち並ぶようになっています。
でも、町の記憶は残っていて、やってきた神さまは、私にとって懐かしい神さまなのです。
下町出身の加門七海さんの墨東地霊散歩にも、このあたりの雰囲気がでています。こちらの記事で。