2020年4月から占星術家SUGARさんを中心にしたサビアンに関する研究会「谷間・オブ・サビアン」に参加しています。
研究員による発表交流会である「谷間の歌会」というZoomイベントに自分が発表したものを加筆してのせます。(現在は研究会は休会で開催されていません)
2021年10月 サビアン研究会自体は水瓶座前半を解説中です。
私はこの時に、冬の寒さが厳しい水瓶座の前半の俳句として金原(きんばら)まさ子さんの俳句をあげました。
つまりただの菫ではないか冬の 金原まさ子
「つまりただのスミレではないか」というあたりまでは、そうか、空き地に小さく咲いている紫の花か、と思います。
あるいは、スミレといいながらパンジーを思い出してもいいと思います。
住宅街の玄関先や、道路のプラスチックのプランターに植えられているパンジー。
桜のように賞賛され、花見をされる花でもなく、百合のように気高く香り立つ花でもない。
ありきたりの花。
そんな「ただの菫ではないか」
でも、最後に「冬の」で景色が一変します。
そのスミレ、あるいはパンジーのまわりは、冬枯れた草地がひろがっている。あるいは東京に降るような雨まじりの重い雪が積もっている。
そのなかで顔をだしている小さな花。
冬枯れた空き地で咲いている、あるいは道路の花壇の雪から顔をだしている花は、ただのスミレでありながら、生命の力強さを咲かせています。
「置かれた場所で咲きなさい」とおっしゃっていたシスターがおられました。
この本来咲くべき季節ではない時に咲いているただのスミレは「置かれた」のではなく、自分からここを選んで自分を置いて、「ただの冬じゃないか」と咲いているようです。
そうはいっても「この」スミレはこの冬の寒さに負けて散ってしまうかもしれない。
でも、また「別の」スミレが来年、あるいは本格的な春の光を待ってこの場所で花を咲かせるのです。
自分が散ってもまた咲く、という事を知っているので「ただの冬じゃないか」と感じているようにも思えます。
そして、この「菫」という文字は、トリカブトを示すことがあります。
トリカブトの塊根を乾燥させたものは漢方薬や毒として用いられて、附子(ぶし)と呼ばれます。
附子はよく使われるので、私は怖い印象はないのですが、古くは狩猟の毒矢として用いたこともあります。
花は夏から秋にかけて咲きます。
すると「つまりただのトリカブトではないか冬の」になると、尋常ではないような殺意のようなものも感じることになります。
金原まさ子さんの太陽は水瓶座15度。サビアンは「2羽のラブバードがフェンスにとまり、幸せそうに歌う」
蠍座木星とスクエア。蠍座14度のサビアンは「電話工夫が新しい配線工事をする」
フェンスの上で生命をうたうインコが命をつなぐ。
この寒さで散ってしまっても、また花をつける生命の繰り返し。
あるいは、スミレとトリカブトという似て非なるものをつなぐ「菫」の文字。
それらをひっくるめてここでは、「ただのスミレ」と言い放っています。
金原まさ子さんは49才から俳句を始められ、102才まで句集をだしておられて、2017年106才でお亡くなりになりました。
100才を超えたときにブログを始めて毎日1句、あげておられたそうです。
そして彼女の辞世の句
転生 三度目の 脂百合ですよ
(金原まさ子さんのブログから引用しましたが、残念ながらクロウズされたようです)
今生も3度目ですし、また次がありますし、純潔でもないヤニ百合ですけど、それが何か?
金原まさ子さんのブログにはこのヤニ百合については、「深山に自生する由」とありましたが、どの百合をさすのかは、わかりませんでした。
102才の時にだされた句集「カルナヴァル」
謝肉祭です。ヴェネツィアでは2月末から3月初めまでの2週間に水瓶座6度サビアン「仮面劇」が行われます。
この句集から2句
百万回死にたし生きたし石榴(ざくろ)食う
エスカルゴ三匹食べて三匹嘔く
水瓶座15度太陽のサビアンシンボの「ラブバード」と蠍座14度木星サビアン「電話工事」生命を歌っていたラブバードは、そうそうあっさりとは、この世とあの世と来世をつなぐことはできません。
金原まさ子さんは胃がんで亡くなられたそうです。
ザクロは女性性、あるいは生命の象徴。鬼子母神のもっている果実です。
元々、鬼子母神の持っている果実は、別の果実だったそうですが、日本では、ザクロとされています。これは、釈迦から今後人肉を食べたくなったらザクロを食べよと論されたことからだそうです。
そのザクロからは強い生命を感じます。
最後まで食べて、吐いて、生命を歌って、その上で、また来世。
まだ、続きます。
脂百合を探していた時に齋藤芽生さんという方の、脂百合の絵をみつけました。
彼女は空想上の花としてこの百合を描いています。
たばこのヤニで育っている百合です。
アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
https://ameblo.jp/artony/entry-12534974528.html
プチ自慢になるのですが、この方の絵を以前、美術館で見たことがあってその後、見る機会がなかったのですが、こんなカタチで巡り会ったのは幸せでした。
斎藤芽生さんの誕生日がわからなかったのが残念ですが、これからもどこかで活躍を拝見できたら嬉しいと思います。
斎藤芽生ブログ 隠花微温室 https://meoflora.exblog.jp/29681043/
齋藤 芽生 Meo SAITO : ギャラリー・アートアンリミテッド http://www.artunlimited.co.jp/artists/meo-saito.html