以前、小海町にいって、新海誠さんの「君の名は。」のモデルとなった神社にも行ってきました。
長野なので、当然、諏訪大社とのつながりもある神社だったのですが、清々(せいせい)とした空気感をもつ神社でした。
また、この地は、1000mを超す高地でもあり、物理的にも空、天に近い聖地。
そして、パワーバランスの中心がどんどん、動いていくようなおもしろいところでした。
新海三社神社の記事は、こちらで。
新海さんの描く世界には、空が大きく描かれます。
彼は、小海町できっと空を見上げて、満点の星だったり、カタチを変えていく雲だったり、燃えるような夕焼けを見ていたんだろうなと思っていました。
今回の展示で、実際にロケハンをした写真と、それが完成された場面を比較して見る事ができました。
ロケハンの写真、そのままであることがわかります。
(国立新美術館から)
でも、そのままであっても、リアルな世界ではありません。
バイクと黄色と黒の進入禁止の工事現場のバリケードの道ばた。
彼の世界では、バイクにうつる風があり、キラキラした光にあふれています。
一方、実際の道ばたは、ペタっとしたつまらない日常。
新海さんの描く世界は、美しい。
光があり、影がある。
雨がふって、桜が舞っている。
その光あふれた世界は、リアルじゃない。
彼が発見したものだから。彼がつくったものだから。
それに対し、自分のいる日常は、キラキラした光はない。
だからといって、日常がつまらない、現実が美しくないという事ではないと思います。
大きな空を感じる小海町だけでなく、新宿の高層ビルに切り取られた信号機前の小さな空にも、輝く太陽は昇っているのですから。
新海誠さんの作るリアルな輪郭をもつ、リアルじゃない美しい光をもった世界は、私たちも、自分のいる場所で自分から見つけていくべき美しさなのです。
すでにある、にじんだ美しさに逃げてはいけない。
この世界は、うんざりするほど日常で、不安なくらい明日がわからないけれど、そこから目をそらさずにいて、見つけていくべきだと思うのです。
東京では、国立新美術館で2017年11月11日(土)~12月18日(月)
それから、全国を巡回します。
札幌芸術の森美術館(北海道)と北九州市漫画ミュージアム(福岡)の開催が決まっています。