東京は緊急事態宣言のなか、オリンピックに向かおうとしている時の開催です。
トーハク(東京国立博物館)には法隆寺館がもともとあって、その常設展示もすばらしいのですが、聖徳太子のご遠忌1400年を記念して、奈良から仏さまがお出ましになるというので、でかけていきました。
チケットは時間制の予約で平日の午後を事前にとりました。
入場待ちもなく場内はそれほど混んでいませんでした。
飛鳥時代の仏さまは穏やかなお姿が好きなのですが、今回は聖徳太子にご縁のある御物(ぎょぶつ)も拝見できるのが素晴らしい。
なかでも私が記録してお伝えしたい展示をご紹介します。
入口でお迎えいただいたのは「如意輪観音菩薩半跏思惟像」(法隆寺蔵 平安時代)
平安時代の仏さまらしくふっくらとしていらっしゃる。
「日本書紀 巻21、22」(宮内庁書陵部)は聖徳太子の「和をもって尊しとなす」の部分の展示がありました。
「天寿国繡帳(てんじゅこくしゅうちょう)」(中宮寺蔵)は刺繍の色目がのこっていてすばらしい。1000年を超えてきたと思えない鮮やかさ。
「星曼荼羅」(法隆寺蔵
)日本人は西洋占星術が発達した西洋と比較して、星への信仰はあまりなかったと聞いたけれど、そうでもないんだな。
「南無仏舎利」(法隆寺藏)舎利塔自体は南北朝時代のものとのことだけど、ホントに美しいもの。
特別展「聖徳太子と法隆寺」公式サイトから
聖徳太子に由来するものとして信仰上極めて重視されきた七種の宝物がまとまって展示されるのも圧倒的。
この七種の宝物は「糞掃衣(ふんぞうえ)」、「梵網経(ぼんもうきょう)」、「五大明王鈴」、「八臣瓢壺(はっしんのひさごつぼ)」、「御足印(ごそくいん)」、「梓弓(あずさゆみ)」、「六目鏑箭(むつめのかぶらや)・箭(や)・利箭(とりがや)・彩絵胡簶(さいえのやなぐい)」(東京都国立博物館・法隆寺献納宝物)
このうち「御足印」は画像でみると全くの茶色なのですが、実際にみると左の足あとが見えた気がします。(気のせいですけど、聖徳太子って足、チッサかったのねと思いました)
東京国立博物館 デジタルアーカイブ 御足印から
「七星文銅大刀」(法隆寺蔵)は、星が七つ彫ってあるのではなく、北斗七星が刀の先端に彫り込んである刀。太陽、雲も彫り込んでありました。飛鳥時代の作で聖徳太子の守刀とのこと。
(七星文銅「大」刀と手元の出品目録にはありますが、七星文銅「太」刀かもしれません)
第二会場の最後は「法隆寺金堂と五重塔」
ここには「薬師如来像」を始め、飛鳥時代の仏さまがおられました。
「伝橘夫人念持仏厨子」は「持つ」ことなんかできない大きさ。
その大きさも含め伸びやかな飛鳥時代、飛鳥地方の仏さまの世界に囲まれます。
奈良の飛鳥に思いをいたします。
飛鳥坐神社を超えて、石舞台、亀石。その奥にある棚田。
その大きく、ゆったりとした飛鳥にまた、行けますようにと手をあわせました。
また、特別展の外には、
特別企画「国宝 救世観音・百済観音を8K文化財で鑑賞」というイベントがありました。
迫力のある大画面テレビがこのご時世、売れているそうです。
そうは言っても、大きな画面には反射の映り込みがあるのです。このイベントでは部屋のなかが暗いので、映り込みもなくホントにリアル。
漆黒のなかに観音さまがいらっしゃいます。
観音さまの頭から足にかけて画像が動いていくときは、まるで地面が動いているような、自分が小さなドローンにのっているような浮遊感がありました。
新型ウィルスによる感染症の東京によく、お出ましいただきました。
こんなご時世なので、おでかけください、とは言いにくいのですが、ご縁があればぜひ。
(展示中展示替えがあります)
中宮寺公式サイト 天寿国繡帳
聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」
2021年7月13日(火)~2021年9月5日(日)東京国立博物館