その昔、天文学と占星術はひとつの学問でした。
なので、天文学といっても、占星術に関連した展示なので、興味はあったのです。
でも、印刷?
なぜ、天文学と印刷が組み合わされるのかが、わかりませんでした。
印刷博物館は、凸版印刷という印刷会社の建物のなかの地下です。
先に言ってしまうと、印刷ってコミュニケーションのひとつなんだよ、といわれた気がしました。
単に文字を伝えるだけなら、データの交換なのです。
そこにどんなフォントを選ぶか、どんな紙をつかうか、どんなインクをのせて、どんな本に仕立てるか、そこまでを含めて、印刷であり、コミュニケーションなんですよ、というメッセージをまんまと(笑)受け取ってしまいました。
恐れ入りました。おっしゃるとおりです。
1階には室内楽ができる音楽ホールもあります。それはそうでしょ。音楽もコミュニケーションだから、というメッセージでしょうか。
この展覧会のチラシ、8枚で大きなひとつのポスターになってるんだ!
知らなかった。
プロムナードは、岩の壁に書いた絵から始まって、「伝える」ことについて、知らせてくれます。
入ってすぐにVRシアター。自分が移動しているように感じます。
これは、体験しないとわからない、気持ち悪さ(笑
地面が動いているようなのです。
今回の目的。
天文学と印刷。
占星術で読み方の重要な約束ごとにハウスシステムという部分があります。
古くからいくつかの方法が試行錯誤されているのですが、その古典というべきハウスシステムのひとつにレギオモンタナヌスという方法があります。
レギオモンタナヌスさんが、考えたやり方なんだろうな、くらいは想像してたのですが、今回知ったのは、このレギオモンタナヌスさん、当時は占星術と未分化だった天文学者でもあり、数学者、印刷者でもあったそうです。
当時は、印刷技術が始まったばかり。
印刷といっても、自ら文字をひろって文章とし校正もするので、本の内容に詳しくないとできない仕事だったのです。
自分の言いたいことは、メディアから作ってしまおう、という姿勢を学びました。
発信する場所、メディアがなければ、自分で作ってしまおうという姿勢です。
貴重な展示は、いくつもあったのですが、アルブレヒト・デューラーの天球図は、美しかった。
また、このチラシの重厚なこと。チラシとか、フライヤーなんていえません。
金銀の箔押しで、重厚な紙が使われています。
この写真ではネズミ色にしか見えないけど、しぶい銀と、漆黒と金。
もうすぐ11月8日に射手座に木星がはいります。
印刷、出版は木星が象徴すると言われています。良い事を広めるのが仕事。
でも、いまや情報の伝達は、ネットだったり電子書籍の時代。なので木星というより天王星でしょうか。
しかし、天王星がひろってくる情報は、本当に世界に起こっている事実なのでしょうか。
真実に迫るものなのでしょうか。
インターネットの情報は、その情報を検索すると、その人に都合のよい情報だけを選んでくるフィルター、フィルターバブルが働いているのではないでしょうか。
あるいは、逆に重みのついていないデータの羅列から、私は真実を選べているのでしょうか。
そして最初の方に書いたように、単なるデータの受け渡しは、コミュニケーションと言えるのでしょうか。
それに対し、木星の受け取る情報は良くも悪くも、全てを受け取り、「善きこと」と思うことを拡大します。
また、タイムラインにながれていく情報を処理することはできても、教科書の意味を拾えていない生徒、いや生徒にかかわらず、そういった人も多くいるという指摘もあります。
いまいちど、世界にきちんと向き合うには、自分のフィルターのかかっていない情報を、リアルな手触りのある媒体で、しっかりと受け止める時期にきているように感じました。
そして、図録。
展覧会の図録は、毎度、もう、買うまい、と思うのですが、この図録は占星術を学ぶものとして、持っておいてよいものですから購入。
そして、なにより印刷物として美しい。豪華。おすすめです。
入口のオブジェの上についているのは、見るという感じのもとになった象形文字だそうです。
「見る感覚」は乙女座。
柔軟宮としては、運動する射手座。味覚は魚座です。
味覚を司る舌は、地面を味わい、移動するという射手座に通じます。
また、双子座は言語能力。
印刷博物館に行って、コミュニケーションとはナニかを考える、というお題はいかがでしょう。
射手座に木星がはいるこの時期に、ぜひ、おすすめの展覧会です。
印刷博物館 公式サイト 天文学と印刷 2018年10月20日(土)~2019年1月20日(日)