仏教は大きな山だと思うのです。
登山口はいくつもあって、まだ登山道もたくさん。
お花をみながらゆっくりと、登っていってもいいし、レースのようにタイムを競ってもいい。
そして、途中でお弁当をひろげて帰ってきて、頂上まで登らなくても充分、楽しい。
一方で、その山の頂上から別のピークを目指していく人もいると思う。
そんな仏教の登山のひとつの「登山道」としてふたつ、おすすめします。
2冊とも、漫画プラス解説。
「維摩さまに聞いてみた 生きづらい人のためのブッダのおしえ」
描かれたのは、細川 貂々(てんてん)さん。実はカソリック信者。
そして、このなかでも狂言回しのようにてんてんさんは、登場されます。
維摩経というのは維摩さんと仏さまの問答のお経です。
てんてんさんは最後に聞きます。
「みにくくてきたないものだらけのこの世の中で。おだやかに生きていけるの?」
舎利弗さん(お釈迦様のお弟子様)はこう答えます。
「私にはわかりません。けれども自分がいま、いる場所をしっかり見定めて、目の前の時間を大切に、よりよい方向に進んで生きていきましょう」
私が好きなのは、維摩さんがちょっと可愛い美しい青年で描かれていることです。
なんか、物知りのおじいさんのイメージだったのですけど、こんな可愛いイケメンにニコッとされるのは、楽しいかも。
そして、最後にある釈徹宗さんの解説を読んで、もう一度、本文に戻ると「あ、そうゆこと」とわかる(気になる)事もあります。
そして、もう1冊。
「あなたは尊い 残念な世界を肯定する8つの物語」
こちらは日蓮さまのお話。
監修に日蓮宗が入っています。
あの世での幸せを願うことが仏教だった時代、この世でこそ幸せになっている「べき」と説法する日蓮さま。
とにかく、いちいち日蓮さまがアツい。
そして「南無妙法蓮華経」のお題目が大声(笑
また、この漫画のなかで語る日蓮さまは方言をつかっていらっしゃるところが、ああ、こんな風に「あなたが尊い」と言われたら、説得力、百万倍だろうなと思いました。
そのなかで、日蓮さまがお母様を亡くされたお話「いなくなっても、ここにある」は、どんなにお母様を思っていらしたのかがわかります。
こんな残念な世の中で、生きている意味があるの?とつい、思ってしまう人に真正面から向き合われたお教えは、1000年の今も引き継がれています。
日蓮さまのアツさがいまも、自分のそばにある事が実感できます。
なんで、生きるのかな、と誰もが思うこと。
考えるきっかけの2冊です。
そして、仏教だけではなく占星術も、大きな山なんだよね。