今年になって、「山岸凉子『日出処の天子』古代飛鳥への旅」が、別冊太陽 太陽の地図帖の企画として出版されました。
山岸涼子さんの「日出処の天子」は、聖徳太子を主人公とする名作漫画。
その舞台となった大和を紹介しているのが、「山岸凉子『日出処の天子』古代飛鳥への旅」という企画の雑誌です。
もとの本になっている「日出処の天子」(ひいずるところのみこ)は、以前、読んだ事があります。
その後、実際に飛鳥(あすか)や、奈良に何度も行ったので、この「地図帖」の地図をみながら、彼らが馬で通った距離感を想像するのが楽しかったです。
この機会なので、「日出処の天子」も読みかえしてみました。
繊細な線で描かれる、微妙な表情をもった聖徳太子と呼ばれる厩戸王子(うまやどのおうじ)は、天才で、超能力者で同性愛者として描かれています。
しかも、この漫画が、30年以上も前に連載されていることに驚きます。
「日出処の天子」は、死と近親婚による血を重ねて、報われない愛を抱きながら、一族の破滅に向かっていくストーリー。
でも、奈良の、大和の「国のまほろば」と詠われたあの美しい田園風景に、まったく似合わないストーリーです。
「日出処の天子」にも登場する蘇我馬子の墓ではないか、といわれている石舞台。
あの見晴らしのよい、天によくぬける場所の気持ちよさと、結びつかない。
だからこその、絶望感。
山岸さんって、「見えてる」方じゃないかな、と思っていました。
「山岸凉子『日出処の天子』古代飛鳥への旅」の記事を読むと、不思議な体験もされているようで、ああ、そうなのか、と思いました。
そして、この濃密な本を読むと、不思議な夢をみるのです。
昨日は、亡くなった友人と、笑って会話をしていました。
彼女は、あいかわらず綺麗な髪をしていて、笑顔が印象に残りました。
魂がトンでいくような漫画です。