漢方を扱うドクターは、たくさんいらっしゃるのですが、私が勉強させていただいているのは、渡辺賢治先生です。
臨床を続けていて、大学で研究をされ、WHOの国際疾病分類に伝統医療として漢方をいれることもすすめていらっしゃいます。
(追記)2018年6月、WHO(世界保健機関)が定める「国際疾病分類」の第11回改訂版(ICD-11)で、「伝統医学」として初めて、漢方をはじめとする東洋医学が第26章につけ加えられました。(追記ここまで)
あまり、学外の講演の機会はないのですが、機会のあるときに講演や講座にうかがっています。
このブログでも、立春や立冬など、季節が変わるときの養生の記事にリンクをつけています。
今の自分の養生するタイプを知りたい方は、慶応大 渡辺賢二先生の未病チェックシートのサイトへ。
漢方には、四診(ししん)といって、次のチェック項目があります。
1.望診(見える範囲での診断。顔色や体型など)
2.聞診(呼吸や口臭)
3.問診(病状や家族歴、既往歴)
4.切診(脈やお腹を触ること)
これを将来はAIを導入し、いずれは処方につなげたいと考えていらっしゃるようです。
そして、いま、現実として使えるのが、こういったチェックするサイトです。
例えば、ほてりを実感している高齢の方。
ほてりだと冷やした方がいいように感じますが、実際は冷えが強かった方だそうです。
頭部や顔のほてりを感じているのは、実は身体の冷えが強く、そう感じたのです。
もちろん、その方によるのですが、この方の場合は、手足が異常に冷えているので、生存の最後の砦であるアタマや顔を守っていたようです。
凍傷と同じ。
ご本人は、ほてるので氷をなめるのが大好きだったらしいのですが、それも冷えをすすめることになっていたようです。
そこで、氷をやめてもらって、附子(暖める生薬)の入った漢方を処方されて治療されたとのこと。
つまり、自分では暑いと感じていても、実は冷えているということもある、ということです。
なので、実感も大事ですが、ご自身の今の証を確認されるのをおすすめします。
そして、漢方医学のなかで、薬はその一部。
針や鍼灸もここに入るのですが、最も重要なのは、養生。生活のなかで健康になること。
漢方は「未病(みびょう)」という考えを大事にします。
病気の前に、病気にならないように、という考えです。生活のなかで養生して、健康と病気のあいだにある未病を改善しましょうという考え。
漢方、あるいは代替医療(だいたいいりょう)を、あまり得意でない分野、ケガや感染症などに使おうとするのは、おすすめできません。
でも、日常生活の養生の範囲を超えたら、病気になったら、まずは、普通に受診して標準治療を受けてください。
そして、渡辺賢治先生の本のご紹介を。
手軽に健康保険で処方されているエキス剤の漢方薬ですが、その原料となっている生薬は海外からの輸入に頼っているのが現状。
その生薬原料は価格も高くなってきて、質のよい生薬が入手しにくくなってきています。
その事についても書かれています。
日本人が知らない漢方の力
また、こちらは専門的な本ですが、小さなサイズなので持ち歩きに便利です。
漢方の処方を書く方、あるいは方剤の勉強をされる方向けにおすすめ。
漢方薬使い分けの極意―マトリックスでわかる!
まずは、日常の養生から始めませんか?
SFC渡辺賢治研究会
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