「祈りのかたち」
祈りをするときのかたち、祈りがかたちになったもの・・・どういう事でしょうね。
バランスがよいというのが第一印象。そこには、「流行りの」源信僧都の往生要集で書かれた地獄もあって、さらに、出水美術館の宝というべき、禅の絵も見ることができるのです。
展示では、実物の写真に解説がついていて、とてもよくわかります。「仏教美術入門」とサブタイトルもあります。
仏像のなりたちから、種類について、あるいはポーズや背景の説明があります。
難しくないと思うので、普段あまりなじみのない方でも、説明をおっていけると思いますし、あるいは夏休みのテーマでもいいと思うのです。
光背の説明もありました。
仏さまのしょってる丸いものです。あれ、光背というのですが、アレってオーラだと思うんですよね。
昔のひとって、見えてたんだなあ。
仏像って、アートとしても素晴らしいのですが、本来は信仰の対象。
お寺のご本尊になっていたりします。
仏画も、そうです。仏像と同じように願をかける対象だったり、心のよりどころとなっています。
あるいは、仏さまの世界を説明するために描かれていたりします。
例えば、地獄の様子をかかれた絵。
地獄の主は10人おられます。その様子を描いた「十王地獄図」
いい男をもとめて、針の木を登る女も描かれていて、業の深さもしみじみと感じます。
でも、地獄には、地蔵菩薩や観音菩薩も登場し、地獄であっても仏の救済がえられることも描かれています。
つまり、悪いことをすると地獄におちて、怖いよ。でも、地獄にいっても仏さまは救ってくれるんだよ、という事が読み取れる絵です。
今回の展示では、二枚の地獄絵の真ん中に、地蔵菩薩像がおかれています。
どこかのお寺の本堂のなかにいるようで、地獄絵のなかから現われてきたと感じる配置です。
思わず、手をあわせたくなる配置です。
今年は、源信の没後千年の年で各地でゆかりの展示が行われています。
源信は、地獄を示し、極楽往生を説いたお坊様。
天変地異や、戦争といった世情不安な当時には、阿弥陀如来がお迎えにきて、極楽往生を願う気持は、とてもリアルだったのだと思います。
現在は、あの世なんか、科学的じゃないし、あの世なんかない。死んだら、おしまい。と思う方もいると思います。
それも、人それぞれなので、ここで否定するつもりはありません。
でも、私は、帰っていくあの世がない、この世はとても、サビシイと思うのです。
あの世と、往生については、こちらの記事で。
死では終わらない物語について書こうと思う
そして、出光美術館といえば、禅画。
コレも展示されていました。仙厓(せんがい)のまる、さんかく、しかく。
この丸、三角、四角、いろいろ言われています。天地人とか、天台、真言、禅とか。
私は、つながっているとことがポイントじゃないかと思いました。さて、なんでしょうね。
気持ちいいです。
飲みものなどの持ち込みはできませんが、お茶のサービスがあって、ゆったりソファに座りながら、皇居というパワースポットを独り占め(笑)できます。
出光美術館 祈りのかたり 2017年7月25日(火)~9月3日(日)
また、こちらは源信僧都つながり、地獄つながりの展示。
奈良国立博物館 源信 地獄・極楽への扉 2017年7月15日(土)~9月3日(日)
三井記念美術館 地獄絵ワンダーランド 2017年7月15日(土)~9月3日(日)(展示替えがあります)