2020年4月から占星術家SUGARさんを中心にしたサビアンに関する研究会「谷間・オブ・サビアン」に参加しています。
研究員による発表交流会である「谷間の歌会」というZoomイベントに自分が発表したものを加筆してこちらに書きます。(現在は研究会は休会で開催されていません)
2021年5月 サビアン研究会自体は蠍座後半を解説中です。
私は、この蠍座の時期、実をつける漆(うるし)をとりあげました。
「父ほどの男に逢はず漆の実」遠山陽子
漆は、漆ぬりの漆であり、その実からろうそくをつくることができます。
そして、漆はかぶれます。
縄文時代から日本では使われていて、実は10月ころ熟して実になります。
また、藤沢周平の上杉鷹山の伝記小説に「漆の実のみのる国」というのがあります。藤沢周平の遺作です。
この小説のスジは、100万本の漆の木を植えようとする話。それは、その実によって国が豊かにし、財政の縮少によってではなく、米沢藩を救おうというのが目的。それは見果てぬ夢にすぎなかったけれど、夢によって人は勇気づけられる、という話です。
そして、この句の思い切りな私の解釈です。
漆の実って役にたつんですよ。
さらに、小説にあったように、志の高さもありそうなのです。
でも、かぶれる。そして地味。
そんな漆と男を並べています。
つまり、まあ、役にたつけど逢うほどじゃないわね、かもしれませんし、
あるいは、痛い目にあいそうなので好きだけどやめておきましょう、という事かもしれません。
そして、彼女の「陽子」という名前は、俳人だった彼女の父親が有名な俳人である高浜虚子の「遠山に陽の当たりたる枯野かな」にあやかって命名されたそうです。
なので、俳人であるお父様ほどの男には今まで逢うことはなかったわ、かもしれません。
また、彼女は師である三橋敏雄さんの来し方を書き残すことをライフワークとしていたそうで「評伝 三橋敏雄—したたかなダンディズム—」という本をだしています。
また、彼女の句集「弦響」の巻尾に「敏雄に和す」と章立てして自分の句が置かれ、三橋敏雄さんの原句と併記されいます。
例えば
世界中一本杉の中は夜 敏雄
かき抱く一本杉の中は秋 陽子
彼女にとって三橋さんは、漆の実だったのか、そうでなかったのか。
遠山陽子さんの太陽は蠍座15度「5つの砂山の周りで遊ぶ子供たち」
真剣な遊びは、どこまでも続く。
遠山陽子さんの他の俳句
山茶花や道いっぱいに霊柩車
梅一枝折りぬ上手に笑へずに
号泣のあとの呆然春の雲
人の肩に爪立てて死す夏の月
首を巻く遺品の真珠いなびかり
お涅槃のくすぐりっこの少女たち
平服でお越しください春の黄泉
チャートは、MyAstroChart さんで作りました。