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五島美術館 めでたい鏡の世界

古い鏡が好きなんです。

そして、以前から一度は行ってみたいな、と思っていた美術館だったし、そこの収蔵品である鏡の展示ならと、灼熱の世田谷に鏡を見にいきました。

五島美術館は東京急行電鉄株式会社の元会長・五島慶太さんが集めた美術品を展示している美術館で、おとなりのおウチは長男の五島昇さんの表札がいまもあります。

もともとこの地は、ハワイ国の駐日公使別邸があった場所で、政治家などの手を経て五島さんチ(家)になって、そこに吉田五十八(よしだいそや)さん設計による美術館が建てられています。
この建物自体もすばらしいもので、王朝貴族の建築様式である寝殿造のデザインをとりこんでいて、収集された美術品とともに響き合っているように思います。

でまず、鏡、鏡みなきゃ(笑

展示は撮影禁止なのですが、入口におられたこちらの仏様、愛染明王が素晴らしかったです。

(五島美術館のフェイスブックから https://www.facebook.com/gotohmuseum/photos/a.526553757372917/526553770706249?locale=ja_JP

所蔵されている鏡はいろいろな時代のものが網羅されていて、全体の流れを知ることができました。

中国の鏡に刻印された四神(ししん)や東王公と西王母、あるいは吉祥の言葉に縁取られた「めでたい」ものというところからきたタイトルでしょう。福々しい暖かさがあります。
そして、そのなかでもやっぱり自分は日本の古墳時代の鏡がすきだなあと思います。
ここはアヤしいブログなので書いてしまうと、響きがいいなと思うのです。

以前、奈良にいったときに黒塚古墳展示館でみた埋葬者にそって埋められていた鏡はすばらしかった。これは自分で2006年に撮影した写真です。

(天理市立黒塚古墳展示館 https://www.city.tenri.nara.jp/kakuka/kyouikuiinkai/bunkazaika/1391486590155.html )

そして、もうひとつの目的は古墳。
こちらのお庭のなかにはお茶室とともに古墳もあります。

美術館からお庭にでることができるのですが、スタッフの方がとても丁寧に接していただけて、説明をしてくれて、いちいちドアを開けていただきました。
また、展示の前に専門用語の解説をしてくれる説明の紙もあって、それを読みながら展示を見ると、理解がすすみます。
東急のホスピタリティ、五島さんチのおもてなしっぽいです。
ありがとうございます。

お庭から美術館をみたところ。

高床や左右に伸びた屋根も美しい。

お庭の先には多摩川があって、ここもちょっとした崖になっています。国分寺崖線と言われています。

お茶室の露地の門にもなっているようです。

お茶室は五島さんチになるまえのオーナーの政治家田健次郎さんが当時の東宮(昭和天皇陛下)行啓のため作った茶室もあり、通常は非公開ですが時々、公開されたりお茶会が催されているようです。

小さな古墳がありました。

高さは1mくらい。
東京都遺跡地図情報インターネット提供サービスによるとこの古墳は「稲荷丸古墳」とあり、ここは「稲荷丸北遺跡」とありました。
稲荷丸古墳は古墳時代の円墳で、稲荷丸北遺跡は縄文時代(早期~晩期)及び古墳時代の集落あとだそうです。

え?稲荷ということは神社はどこ?と思うじゃないですか

東京都遺跡地図情報インターネット提供サービスでは、こちらの美術館のある一角には神社があります。鳥居(⛩)のマークがあります。上野毛稲荷神社です。
お寺マークは覚願寺。

上野毛稲荷神社があるので、稲荷丸遺跡、稲荷丸塚とされているのでしょう。
この稲荷神社の北にあるから五島美術館のほうは稲荷丸北遺跡なんですね。名前がちょっとややこしい。

でもこの多摩川にそった武蔵野台地のへりには点々と遺跡や古墳があって、昔から人が住んでいた場所です。
縄文人っていいところ知ってるなあと思います。

縄文から人が住んでいた場所で古墳、あるいは駐日公使別邸、政治家、実業家というその時代の有力者がこの地にいて、古くからの文化を守っておられます。

五島美術館は、国宝の「源氏物語絵巻」、国宝の紫式部日記絵巻を所蔵します。
2024年の大河ドラマ「光る君へ」もありますし、次回の展示には国宝「紫式部日記絵巻 五島本第一・二・三段」が特別展示予定だそうです。 (2023年10月7日(土)―10月15日(日))

単に展示物と会話するのではなく、美術館という建物、空間を楽しむということのできる美術館なんだと思います。

「めでたい鏡の世界」 2023年6月24日(土)〜7月30日(日)

五島美術館が有形文化財に指定されたときの「せたがやの文化財」(PDFです) → https://setagayadigitalmuseum.jp/cms_ref_files/105.pdf

東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス https://tokyo-iseki.metro.tokyo.lg.jp/map.html (五島美術館の遺跡は遺跡番号の250と251、稲荷丸の方の遺跡番号は219と220です)

五島美術館 https://www.gotoh-museum.or.jp/

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