総社、というのは、国中の神さまにお集まりいただいた神社です。
その昔、常陸の国の国府がこの近くにあったそうです。
国府での大切な仕事のひとつに、
その国の神さまたちを参拝して、国の安寧を祈願する、という仕事がありました。
そこで、各地の神さまにお集まりいただいたのが「総社」とよばれる神社です。
なので、境内には神さまがたくさん、おられます。
左は松尾社。水と酒造の神さま。
右は、愛染社。ちょっと珍しい。
染物と縁結びの神さまだそうです。
染色の神さまが縁結びをされるのは、服織神社もそうでした。
縁の糸を結ぶ、ということでしょうか。
左は、星宮神社。「星の神」とあります。
右は、香丸稲荷神社。「食べ物の神」とあります。
稲荷社は、稲の神さま、お稲荷さん、食べ物の神さまなので、それはわかるとして、
星の神、とわざわざ書かれた方が、ちょっとめずらしい。
星の神さまとは、おなじ茨城にある大甕(おおみか)神社の
天香香背男(あめのかがせお)、星神香香背男(ほしのかがせお)、じゃないかな、と思います。
地元の神さま、ヤマトの勢力に反抗した「まつろわぬもの」「鬼神」「悪神」とされていますが、征服者に対する地元の勢力であったようです。
しかも、たいへんなパワーをもった神さまであれば、
服従させたあとも、こうして国府の役目として、お祀りするのもわかります。
あるいは、境内に置く事で、監視していた、とも考えられますけど。
また、星の神の星が、北極星であれば、鳥越神社や、鷲神社のように、
逆に、ヤマト側のヒーローの日本武尊をお祀りする神社となります。征服者側のお宮。
でも、そうだとしたら、星、よりむしろ、鳥が象徴とされます。
また、この総社の本殿にいらっしゃるのは、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)をはじめ、六柱の方々。
本殿のご祭神には、日本武尊ははいっておられません。
でも、腰掛石があるくらいなので、境内の摂末社におられてもいいところ。
そうすると、本殿の方々とバランスがとれないような気がするのです。
なので、天香香背男(あめのかがせお)、星神香香背男(ほしのかがせお)ではないかな、と思うのですが、
どちらにしても、摂末社のなかでは、めだって男性的なお宮です。
でも、仮本殿にむかう渡り廊下にむけたところに、手水舎があって、
そこには、水がありました。
今も水脈は、生きているようです。
地図には、府中や国府の地名が残り、国分尼寺跡もあります。
常陸(ひたち)は、東北への東征の最前線だったのです。
それは、霊的な最前線でもありました。
だから、この常陸国総社には、ヤマト側の強力な神さまを勧請し、
ヒーローである日本武尊が、国見をした石が残されているのだと思います。
常陸国総社
ツイッターもされています。 @sosyagu
禰宜さんはPenオンラインでコラムも書いていらっしゃって、写真も美しい。多才な方だなあ。