「いい人がいない。どうやって出会ったらいいのか」「つきあっているけど、ホントにこの人でいいのかと」
という疑問、よくうかがいます。
内田さんが、この本のなかで答えています。
その目的とするところは、前書きに書かれていて「結婚はこんなふうにいろいろたいへんだけれど、それが『ふつう』だからあまり気にすることはないですよ」
そして、読んだ人が「結婚したくなる」すでに、結婚している人は「結婚生活が楽しくなる」だそうです。
いいなあ。
ちなみに、この著者の内田樹さんは、一度の離婚歴があり、その時の娘さんを男親ひとりで育て、今は二度目の結婚中です。
だからといって、その言葉が信用ならん、ということではありません。
むしろ、ひとりで育児をしたという経験が、複眼のように、家事や育児をする視線を重ねているように感じます。
このなかでは、結婚について、いろんな質問と答えの形式で書かれています。
問いはいろんな角度からされているのですが、私は内田さんの答えはいつも同じのように感じます。
結婚とは、社会のなかでの一番小さなセイフティネット。
それは、風邪をひいた時にプリンを買ってきてくれるようなセイフティネット。
でも、そのセイフティネットを維持するには、なかなか努力が必要。
そして、結婚生活が破綻しかけたときの最後の支えは、自分たちの関係は、山や海のように存在するリアルだ、という「確信的なウソ」とあります。
それは、風邪の時だけでなく、もっと自分が破滅的な状況のとき、相手に結婚生活を続ける理由がないときにでも、このセイフティネットが利いてくるのです。
それが結婚の「味」だそうです。
私は、その確信的ウソは、とても尊いもののように感じます。
教会の結婚式では「病めるときも貧しきときも」と誓います。
その、病めるとき、貧しいときに、「病気なんかヤダ。お金ないなんで信じられない。離婚する」と言われないため、言わないために、神さまの前で誓うのです。
神さまの前で誓う、という結婚式をつくりだした先人のするどさと、聖書の言葉の重みを感じます。
結婚したことのない方、結婚していた方、結婚している方、おすすめします。
困難な結婚