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古代の朱

デジタルの体温計が一般的ではなかった頃、家庭に必ずあったのが水銀の体温計。
それから、蛍光灯がきれたときに、それは水銀が入っているから、別に分けてだしなさい、といわれた事もあります。

なので、ちょっと前までは、わりと水銀は生活のなかに馴染んだ金属だったのです。

水銀の体温計を振って、温度を下げるとき、思いっきり何かにぶつけて、なかの水銀をばらまいてしまった事があります。
水銀は、コロコロと転がっていて、これが金属?と不思議に思ったことがあります。
ちなみに、触った程度では、問題はないのですが、蒸発した蒸気は毒性があります。
常温で蒸発しますが、通気性のよい室内で体温計1本が壊れた程度であれば問題ありません。

そんな水銀は、古代人の昔から不思議な存在だったようで、辰砂(しんしゃ)という水銀と硫黄の化合物を精製して採取していました。
奈良の大仏さま(東大寺の盧舎那仏)を造るときにも、水銀は大量に使用されています。
一方、この辰砂は、丹(に)と呼ばれ、その赤さを使われたり、薬として用いられたこともあります。

また、英語で水銀は、mercury(マーキュリー)
これは、水星の意味でもあります。ギリシャ神話のヘルメスでもあり、通信、商売の神さま。
ころころと動き、蒸発する不思議なものに、あちらこちらを飛び回る神さまをみたのかもしれません。

この丹についての貴重な本です。
研究としては、新しくないのですが(1975年)、2017年に復刻されました。

このところ絶賛、オシている「阿・吽」にも、丹生都比売という神さまが登場して、その精製を教えています。
その神さまがおられる神社についても、書かれています。

阿・吽の記事は、別に書きました。丹生都比売が登場する阿・吽の 3巻 と 4巻 については、こちらの記事で。
第5巻の記事は、こちら。

阿・吽の世界でいうと、桓武帝が即位された当時、奈良は、聖武帝が発願された盧舎那仏の建立による水銀汚染と、道鏡に象徴される奈良仏教の勢力拡大のあとの、血統を絶やすほどの権力闘争がありました。

丹生がとれる土地は、古くから聖地とされていて、神社やお寺が多く建てられています。
古くから丹生、水銀は貴重で尊いもので、その鉱脈を知っているのは特殊な能力だったはずです。
そして、それを守るのも大事。

その丹生の元宮をさぐり、その地の試料から、水銀を検出するという、とても地道な研究の成果が、わかりやすく紹介されています。

そして、この1975年当時は、高度経済成長のなかで、各地に道路や団地が造られていた時です。
そこに、あったお宮は、いまはどうなっているのだろうか、と気になります。

お好きな方は、復刊のこの機会にぜひ。

古代の朱

水銀体温計の毒性について 日本中毒情報センター(PDFです。医師、薬剤師、看護師むけの中毒情報であることをご注意ください)

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